ある雪の日
会社にいたときは「みんな帰れるのかな」「早く帰りたいな」なんて思ってたけど、無事駅について、ラーメン餃子を食べてあったまって、家まで歩く道のり。
そこそこ雪国で育ったわたしにとって、雪景色ってすごくノスタルジー。子どもごころがうずく、うずく。よりによって8センチヒールのショートブーツを履いていても、それなりに上手に歩ける。つめたいのに顔がにやける。立ち止まっては空をみあげる、写真を撮る。
静かな街は時が止まったよう。浮遊する雪は魔法のよう。よそのお宅の人感センサーで点灯する照明に照らされて、そこは真っ白なステージみたい。誰かが作った雪だるま、明日のために雪かきする人、たまらずに外に飛び出した若い夫婦。慣れてないから、ハチャメチャな防寒。
雪って全部を、愛おしくさせる。
たまらなくて、こんな時がずっと続けばいいのに、みんな雪ではしゃいだあとにあたたかいおうちでゆっくりと家族で過ごして、ずっとずっとそんな時間が続けばいいのに、って。
かじかむ手、凍る前髪、はりつめる頬、白い息。つめたい空気を吸い込むと肺がすみずみまでひんやりする。なんかちょっと洗われたような気分になりながら。またこんな大雪の日がくること、ずっとこころのはしっこで願ってる。