めにみえないこと

また書くね

輪郭

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今日はひさしぶりに、音楽を聴くことができた。

 

公園で今年初のアイスコーヒーを飲んで、ぼんやり音楽を聴いた。音楽を聴くとなんとなく「自分はこうありたかった」「自分はこういうものが好きだった」という思いがはっきりしていく気がする。自分の輪郭がはっきりしてくるような感覚。ああ、なんか生きている〜みたいな感じがする。なのになんで、音楽を聴かないんだろう。

 

 

 

下北沢駅はいつの間にか知らない駅みたいになっていた。再開発が始まってから何度も来てはいるんだけど。駅前の広場に出て目の前に広がる景色を見て、改めて実感する。馴染みの店に辿り着くまでの間はなんだかドギマギする。数ヶ月ごとに入れ替わる流行りの店を何軒も通り過ぎて、パン屋に入り、十数年食べ続けてるメニューを食べた。変わらないものも変わっていくものも、どっちもあるから街は成り立つんだよね。

 

14時から、舞台『スタートアップ』を観た。まだ公演中なので詳細は控えるけれど、これまでのことを思い出すことが増えた30代半ばのわたしにとってはなんだかタイミングが良くて。舞台ならではの試みも面白かった。何より、"目の前で、生身の人間が何かを表現している"というエネルギーにひさしぶりに触れて、嬉しかった。

 

外に出ると、夕方とは思えないくらい明るくて、気持ち良い風が吹いていた。気の向くままに散歩する。人混みを避けつつ公園に着き、アイスコーヒーとドーナツを購入。空いているベンチを探して歩くうちに左手が冷えてゆく。ぐるりと半周したところで、やっとベンチに座ってドーナツを食べた。

 

そこで、やっと音楽が聴けた。

 

数年前はこうやって歩いて、いつも音楽を聴いていたように思う。いろんなこと考えたり。なんで聴かなくなっちゃったのかな〜、なんとなく、心がゆれることを避けるようになってるのは気づいてる。鈍感になる。でも幸せだと感じる。だけど、こうして気ままに歩いて音楽を聴いて、そんな時間でしか豊かになりえない場所がある気がする。

 

そんなきっかけをくれた、舞台『スタートアップ』に感謝。自分の輪郭を感じながら、溶けていくアイスコーヒーの氷を眺めていた。