2月3日の日記
わたくし「バズるための文章術」みたいな本を見つけると大慌てで目を逸らしたりするのですが。人の心を惹きつける文章の書き方、知れるものなら知りたいけれど、それよりも「バズ」のことがずっと怖い。正確に言うと「バズが目的であること」か。イライラするとか嫌いとかを通り越して、そういうのがある世界のことを知らないでいたい、っていうか。
"強いことば"ってキャッチーだけど、いろんなことをすっ飛ばしすぎだと思う。情緒がない、情景が浮かばない、その単語を使ったことで画一的になってしまう。ペラッとした、記号になる。ハートをいっぱいつけながら、タイムラインに消えていく。
そういう"強いことば"でしか表現できない感情もあるから、一概に否定したいんじゃない。最短距離で概要を伝えるには最強なのかも。でも、自分のこころがなんで動いたのかくらい、自分のことばで話したい。そういうのが聞きたいなって思う。時間がかかってもよくて、まどろっこしくてもよくて、140字に収まらなくても、結局なんなのか、わからなくてもいいと思う。そういうのを聞きたいなって思う。
そんなこんなで、ちょっと久しぶりに「パンズ・ラビリンス」を観たんです。
ファンタジーなお話かと思いきや、ってそういうギャップはあるし、
残酷な現実を突きつけられるようなラストはもちろん悲しかったけど、
じゃあそれだけ?ってわたしにはそんなんじゃなくて。
大尉ずっとムカつくし。なんか手のひらに目玉あるし。
でも、物語の世界に逃げるしかなかった、というよりは、
物語だけはいつも彼女の心を守っていたのだ、
どんな内戦も、権力も、暴力も、その領域は侵せないのだと
そんなファンタジーの力を思い知らされる。
物語に救われてきたわたしにとっては、
バッドエンドだなんて簡単に言えなくて。
友人が教えてくれた、とてもたいせつで大好きな映画です。